「7」のつく日のBIEE通信【2017年08月27日号】
☆彡「目的意識」
著名人の英語スピーチは英語学習に大変役立ちます。人に聞かせるための英語ということもあり、一文一文がはっきり発音されているため聞きやすい点でリスニング教材として有効活用が可。また、誰にでもわかる英語で語られることが多いため、リーディングや速読の練習にも使えます。そして心に響く内容のスピーチも多数存在します。2017年5月に行われたハーバード大学の卒業式ではFACEBOOK創始者の一人であるMark Zuckerberg氏がスピーチをしました。
Mark Zuckerberg氏のスピーチ、詳しくはこちら
幼い頃からインターネットやデジタル技術に囲まれ慣れ親しんで育った「ミレニアル世代」と呼称される若者たち。そんな世代の卒業生たちへの自らもミレニアルズであるZuckerberg氏のスピーチは、年長者たちの多くがスピーチする「人生は〜」といったものではなく、「僕らミレニアル世代は〜」と同世代に呼びかけるメッセージでした。「僕らの世代の責任は、すべての人たちが目的意識をもって生きることのできる世界を築くこと」という同世代の成功者からの力強い言葉は全世界の若者たちにも感動を届けたようです。
そのスピーチの中で「ミレニアル世代」を見守る立場である私が何度も繰り返し聞いたフレーズがありました。
僕の好きな逸話の一つに、ジョン・F・ケネディ大統領がNASAの宇宙センターを訪れた時のエピソードがあります。ある時、大統領が宇宙センターを訪問した時、ほうきを持った清掃員を見かけました。大統領は彼が何をしているのかと聞いたところ、清掃員は、『大統領、私は人類が月に行くための手伝いをしているんです!』と答えたのです。目的意識とはまさにその清掃員が語ったことで、自分が自分より大きなものの一部となって、自分が必要とされることを感じとり、もっと頑張ろうと思える感覚のことなのです。そして、目的意識こそが人々に幸せをもたらすものなのです
このエピソードを聞いた時、高校生交換留学プログラムの目的として参加者に何度も話したことや、事務所でボランティアをしてくれているSA(BIEE Survived Angels)たちのことを思い出していました。
「高校交換留学の目的は、参加者であるあなたが英語がペラペラ話せるようになるためでも、英語の検定試験に合格するためでも、AO入試に有利になるではありません。留学先でできるだけ多くの人たちと交流し、あなたと出会った人たちに『日本人っていい人だな』『いつか日本に行ってみたいな』と思ってもらえるように、そしてあなたがその地を離れた後も"Japanese"“Japan”と聞くたびあなたを思い出し、思わず笑顔がでてくる人が増えるようにするのが高校交換留学の目的です。そしてそれが『平和な世界を築き守るため』につながるんです…」
この言葉はBIEEのプログラムで参加している留学生たちに何度も伝えているフレーズです。留学中の皆さんには、この目的と自分たちがどれだけ大きな役割をもって海外に派遣されているかを思い出してほしいですね…
BIEE文際交流協会の事務所ではgoodwill SAの人たちがお手伝いをしてくれています。ある時、そんなSAの一人が英語試験の採点用紙を作成するという、細かい作業を忍耐強くやってくれていました。たまたま事務所に来た高校生がそんな姿を見て一言…「やだな、そんな単純な仕事…全くクリエイティブじゃないし。自分はもっとクリエイティブなことやりたいです…」そんな言葉を無視し作業を続けていたSAと彼の仕事を笑った高校生にNASAの宇宙センターの清掃員のエピソード聞かせてあげたかったな。「彼のやっている仕事は世界の人たちの笑顔を保ち、守るために海外に派遣される高校生を育てるための大切なプロセスなんですよ」と…1本の木ではなく、その木が生えている森を見ることの大切さをこれからも参加者に伝え続けていきたいと感じました。
☆彡高校交換留学体験者の感想
高校生交換留学プログラム終了間際や帰国後に「自分の気持ちを書いてみました!」と感想文を送ってくれる参加者がいます。帰国直後に自分の留学生活やこれからの目標などを報告に来てくれる高校生たちと同様、若さゆえの情熱を感じます。そして、多くの留学生たちは自分の将来について「もっと人の役にたてる人間になりたい」「自分のためではなく、周りの人たちのためにできる仕事をしたい」という熱い言葉を語ります。
しかし、実際に彼らが大学に進学し、就職活動に時間を費やし、そして仕事に就く頃には「お金」や「ステイタス」に興味がシフトしていることも…。「自活しなくてはいけない」という現実に直面すると純粋な心で理想を追ってばかりはいられなくなるのでしょう。これは仕方がないこと、子供たちが大人になった証なのかもしれません。でも、「人のために生きたい」という気持ちを一度でも持っていたことは事実。いつの日か、そんなことを語っていた自分を思い出してくれると嬉しいですね。
先日、古い書類に目を通していた時、10年以上前に受け取った手紙や、数年前にメールで送られてきた“熱い”体験談を発見しました。時代の変化によって「変わるもの」があり、同時に「変わらないもの」があることを再認識しました。
中学校の頃から念願の夢だったアメリカへの高校生交換留学はあと5日で終了する。この1年は本当に感情の変化が激しかった。ホストマザーに怒られて「もうこんなところ抜け出してやる」と早期帰国を勝手に決断し、パソコンで飛行機のチケットを予約しようとしたと思えば、次の日には、家族でどこに出かけるわけでもなく家の庭でただぼんやり過ごしていただけなのに、みんなで同じことで笑いあったことで「やっぱりこの家族がホストファミリーでよかった」と心から思ったり。毎日がこんなことの連続だった。
今まで勉強と趣味であるピアノを弾くことのみを重点に生活してきた私は、知り合いが誰もいなく、文化も異なる異国の地での人付き合いに本当に苦労した。だけどこの一年間一生懸命頑張った。恋もしたし、ベストフレンドといえるような友達もできたし、ホストファミリーとは本当の家族になれた。
つまり、私がこのアメリカ留学から学んだことは、私を輝かせてくれるのは私の周りにいる人たちであるということ。家族であったり、友達であったり、恋人であったりと形はいろいろ異なるが、それはいつも私を笑わせてくれる人、私に楽しい時間を提供してくれる人、私の悲しみに寄り添ってくれる人。今まではたくさん勉強して有名難関大学に行くことが、プロに負けないくらいバリバリピアノを弾きこなすことが、私の人生を輝かせると思っていた。でもそれだけじゃないって。私を認めてくれるみんながいるから私は輝けるんだって最後の最後にやっと気づけた。今なら今まで私に関わってくれた人全員に感謝できるし、人との出会いをもっと大切にできる気がする。
はっきりいって思い描いていたものとは違った留学生活だったけど、甘さも苦さも経験した一年だったけど、きっとこんな一年に出会えることはもう二度となくて、ここでの思い出は私の中で永遠だ。
静まり返った教室、耳を澄まさなくても生徒達のペンを動かす音が聞こえてくる。オーストラリアとは遠い誰一人発言することは無い日本特有の授業風景だ。僕はふと黒板に設けられた日付欄を見た。同時に体の動きが止まり一瞬空気さえも止まったかのように思えた。2月1日---この日は特別な日だった。そう、ちょうど一年前のこの日、僕は計り知れない期待とそれを上回る不安、そしてそれらをも越すであろう大きなスーツケースと共に母国日本を去ったのだ。東京行の新幹線の中で一人泣いたことを今でも覚えている。その時始まった得体のしれない未来へのあらゆ思いに当時の僕は押しつぶされそうになっていた。
2月1日のその晩、帰国し僕は初めてオーストラリアにいる友人の一人に電話をしようと決めた。恐る恐る受話器を握り番号を押した。すぐさま懐かしい声が聞こえてきた。偶然パーティーの途中だったらしく何人かの友人の声も受話器の向こうから聞こえてくる。国際電話のため長電話はできず、数分で電話を切った。寂しさ僕を包み込んだ。12月に帰国し早2ヶ月、あれからもう一年が経つ。改めて気がついた。帰ってきたのだと。ここは母国に本なのだと。
全てが与えられ安全で恵まれ過ぎた環境にいた僕。勘違いの個性や幼稚な価値観で大手を振って歩いていた。背伸びをし過ぎて足元が見えず空回りしていた。何もかもが未熟だった。だけど情熱だけは備わっていた。そんな僕はあの10ヶ月の中で自分自身を根底から覆させられ、考えさせられた。刺激的で充実し、喜びや悲しみに満ち溢れた日々だった。多くの出会いを経験し別れの意味を知った。恋をし、家族を愛し、母国を愛し、そして孤独に泣き、異文化に戸惑い、自分自身に怒りをおぼえ、あらゆる喜怒哀楽を経験した。簡潔になんて言い表せない。帰国後一番多く質問される事は決まっている。「留学どうだった?」だ。いつも返答に困る。濃い過ぎる10ヶ月。一言なんかでは言えないし行ってしまいたくない。町の様子や海の美しさ、日本とは異なる食生活。日本にいては知り辛い若者文化。カンガルー、コアラ、オペラハウス、シドニーハーバーブリッジ、サーフィン、、そんな事を言ってもあの10ヶ月は何も伝わらない。第一僕の留学はまだ終わっていない。自分自身を考えさせられ続け答えなんて出なかったし余計分かりにくくなった。そんな答えは永遠に見つからないのかもしれない。そのために僕は生きるのだろう。
「留学どうだった?」の質問に僕はあえていつもこう答える。「楽しかったよ。」と。
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