BIEEオリエンテーション準備中 【2018年04月17日号】
ゆるやかなネットワーク…
BIEEではあえて形式ばった同窓会を組織していません。参加者たちグループに「第〇〇期」「△△年修了生」「XX年出発生」といったネーミングもつけていません。「BIEEのプログラムで高校交換留学をした」という唯一の共通点のもとに、上下関係や細かい制約・ルールにとらわれず、個を活かし、興味のある分野でそれぞれが得意とすることを提供しあえる「ゆるやかなBIEE-SAネットワーク」がBIEE同窓会です。そして私たちの役割は彼らが個性を活かせる場所と機会を提供していくことだと考えています。そんな場所の一つがオリエンテーションです。
以前、BIEEの派遣プログラム・オリエンテーションは留学プログラム担当者が中心となって実施していました。そして留学体験者であるSA(Survived Angels)数名には、体験談のセッションにのみ参加をしてもらうという形式をとっていました。しかし、数年前から、交換留学を無事に修了し、リーダーシップをとれるようになっているSAたちの存在をもっと活かしたいということで、彼らの担当セッションを少しずつ増やしていきました。そして今年のオリエンテーションは、半分以上のセッションをSAたちに任せ、準備を進めています。日本語スピーチや英語スピーチの発表時の司会進行や発表形式のアレンジ、留学先国のクイズ作成、SA体験談の人選、SAによるプロジェクトの企画等に加え、留学時のそれぞれの経験や最近の留学生たちの失敗をもとにケーススタディを見直し、オリエンテーション全体をより時代の変化に即したものに変更してくれています。作業を進めているSAたちの姿は本当に頼もしく、彼らの存在こそBIEEの宝物だと再認識しています。
しかし、SA主導型のやり方が最初からスムースにいったわけではありません。同時期に渡航したSAたちがオリエンテーション会場で久しぶりの再会で興奮して「あ〜〇〇、久しぶり!元気!?」と同窓会化した結果、業務が予定通り遂行されなかったり、多くの仕事がリーダー的存在のSA一人に集中し、必要以上のストレスを感じさせてしまったという失敗もありました。しかし、「同じ失敗は繰り返さないようにしよう」と新たなやり方を何人かのSAたちが中心になって提案しながら、内容のみならず、運営方法も改善されています。SA天晴れ!
オリエンテーション準備で考えたこと:ケース・スタディの課題…
留学先で起こりうるトラブル事例を事前に把握し、同じような状況に陥った場合、どのように対処すべきかを考えるのがケース・スタディ・セッションの目的です。オリエンテーション前に課題として参加者全員に自分の考えを記入して提出していただき、SAがそれぞれの回答に目を通してくれました。そして、いくつかの質問に対する回答を読みながら「留学する子たちの考え方、明らかに数年前と変わってきていますね…」というため息交じりの感想を述べてくれました。
私のホストファミリーの規則が厳しすぎです。
例えば…
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一人で外を出歩いてはいけない
- 夜10時以降電子機器の使用は禁止---スマホやパソコンをやったらダメ
- 門限は午後6時半
- 消灯時間は午後10時半
- ジーンズを洗うときはファスナーをしめて洗濯機に入れる
- 異性の友達と出かける時は、必ずその友達を前もってホストファミリーに紹介しなくてはいけない
といった具合です。ルールを破るとスマホを没収されるという罰が本当に辛いです。コーディネーターに伝えても、「HFに合わせないとだめだよ」と言われてしまって、私の気持ちなんて考えてくれません。
Q: あなたにとってこのホストファミリーの中で受け入れられないルールはありますか?
Q: ホストファミリーはどうしてこのようなルールを設定していると思いますか?
日本人留学生たちとLINEやInstagramでコミュニケーションをしていたら、BIEEから「日本からの留学生同士のやり取りは控えるように」と厳しい手紙が届きました。そんなに頻繁に連絡しているわけじゃないし、1日にたった数回、ちょっとスマホをいじるだけなんだから問題ないと思う。それに、日本語を一切使わないより少し息抜きできる方が前向きに頑張れるし、お互いを励ましあったり、相談しあったりすることが悪いことだとも思えない…。何がいけないんですか!?
Q: あなたは留学中、どれくらいの頻度で日本の家族や日本人の友達に連絡を取りたいと思いますか?
例えば事例@ホストファミリーのルールが厳しすぎるというケースの回答…以前なら、「例えルールが厳しくても、自分をお世話してくれるホストファミリーの指示に従う」という姿勢が見られたのですが、今回の派遣生の回答の中には「こんな厳しすぎるルールには従えない」「過保護すぎる」そして「団体にホストチェンジを頼む」といった複数の答えがありました。
事例Aの留学中の日本人との連絡についての回答には「2日に1回、それが無理なら最低1週間に1回は連絡を取りたい」と、数年前の派遣生のような「留学中は留学先の生活に没頭したいから、日本の友達だけでなく、家族にも連絡をしたくない」とは全く異なるものが目立ちました。
「このような変化はどうして起こっているのか?」「高校生交換留学プログラムを理解しないで参加を希望したのか?」「何かをやってくれる人に対し、感謝の気持ちをもたせることは可能なのだろうか?」さらに「もしこれらの考えが変わらなかったら留学の成果に影響は出ないのだろうか?」といったいくつもの疑問が頭をよぎります。
“An American Boy Grows Up”というアメリカの名優John Wayneが朗読したショートストーリーがあります。アメリカ人の父親が、息子の産まれた時から高校を卒業して家を出ていくまでの成長の過程をさまざまなアメリカらしいエピソードと共に語っているものです。(もっとも1970年代に発表されたものですので、スマホやコンピュータゲームに夢中になったりというエピソードは入っていませんが…)その中に次のようなフレーズがあります。
"Choice is yours", his mother said. You can pick the easy way... what you put into life you get out of it. Each man pays his price one day高校生になり、"Wow" "This school is tough...look at all these books" と勉強の量が半端でないことをぼやいている息子に母親が告げた一言です。「選択はあなた次第」と、自分のことは自分で決め、その結果は自分の責任として受け止めなければいけないというアメリカ的な教育方針です。オリエンテーションではこれから留学する人たちに私たちから同じ言葉を伝えたいと思います。そして、SAたちと交流し、彼らの体験を聞くことができるオリエンテーションが自分の考えを見直す機会になることを祈っています。
オリエンテーション準備で考えたこと:新しいセッションの追加…
留学中「誰かに相談してもいいのだろうか?」と悩む問題に遭遇することも少なくありません。大変真面目で、まわりに迷惑をかけないでどんなトラブルも自分ですべて解決したいという気持ちが強い留学生の中には「相談すべき事項」の判断を誤り、我慢しすぎてしまうというケースが増えています。
今回のオリエンテーションから新たに「こんな時、誰に相談する?」セッションを加え、アメリカの団体代表者と共に、相談相手(ホストファミリー、コーディネーター、現地の団体、日本の団体、日本の保護者)についての確認を行っていくことになりました。次のような「こんな時…」を話し合います。
- ホストファミリーの喧嘩が絶えない。
- 体調が悪い。
- 授業についていけないので、チューターをお願いしたい。
- ダブルプレイスメントの留学生との関係が悪い
- 躾が厳しいホストマザーが自分の子供を叩いている。
- ホストファミリーから毎回ガソリン代や日常品の代金を支払ってほしいと言われる。
- パスポートを紛失した。
- スマホを壊してしまったので新しいものを買いたい。
- ピアスを開けたい。
- ホームステイ先の食事で野菜が足りていない。
- お金を貸してほしいとホストファミリーに頼まれた。
- 学校でいじめや暴力を目撃してしまった。
- 簡単すぎるので学校のクラスを変更したい。
- ホストファミリーのルールが厳しすぎる。
- 宿題が多すぎて終わらない。
- コーディネーターとホストファミリーが仲が良いため、ホストファミリーとのことで相談できない
- 家の手伝いが多すぎる。
- 団体主催の旅行に行きたいが、申込方法が分からない。
- 保険の申請の方法がわからない。
- 必要なこと以外日本と連絡を取りたくないが、ホストファミリーから家族にもっと連絡を取るように言われる。