色違い、皆と同じはつまらない【2018年04月27日号】
一方、私たち担当者は、毎回オリエンテーション時期になると「今回のオリエンテーションで私たちが伝えたいことは何なのだろう…」と悩みます。インターネットが普及したおかげで、海外にいても24時間、世界中のテレビ番組までが簡単に視聴することが出来る今日、母国を忘れる位に留学先の生活に没頭することがほぼ不可能になっています。その結果、高校交換留学プログラムは外国語の習得が第1目的ではないものの、ひと昔と比較し、帰国生の語学力の伸びが著しく落ちてきています。「留学生が部屋に閉じこもってホストファミリーと交流しようとしない」という海外団体からの残念な報告も激増しているのも事実です。以前であれば、部屋に一人で閉じこもっていても何もすることがなく、さらに寂しくなるだけ。「これじゃだめだ。何とか誰かと一緒に時間を過ごす方法を考えよう!」と、消極的な自分を変えようと努力していた留学生が多かったのですが、今は部屋にこもってスマホやパソコンでYouTubeを観たり、SNSで母国の友達や家族と連絡をしたりと、寂しさから逃げる方法が簡単に見つかります。自分より3,4歳だけ年下の留学予定生たちのケーススタディを読みながら「スマホなしの生活なんかあり得ないと言い切る今の高校生、かわいそうだな」とつぶやいていたSAの言葉にあまりに早すぎる環境の変化を感じてしまいました。
私たち担当者は「高校交換留学の経験を通して、あなたは何を得たいのですか?それをするためにあなたのすべきことは何ですか?」とこれまで以上に何度も問いかけることが必要なのかもしれませんね。そしてあと一つ、今回のオリエンテーションで伝えたいこと、それは事務所においてある週めくりカレンダーの今週の言葉が思い出させてくれました。「色違い 皆と同じはつまらない」…この短い言葉を何度も何度も読み返しました。そして、参加者全員に「留学を通し、他の人とは違う自分を見つけてほしい」と心から思いました。「自分探し」とは他の誰とも異なる自身を見つけ、「これだけは誰にも負けない」という何かをみつけ、自分自身に対し揺るがない自信をもてるようになることではないでしょうか。どのように私たちの気持ちを伝えられるのか…あと1週間、たくさん悩みそうです!
保護者会アンケートより
春のオリエンテーション時期に、文際交流協会(BIEE)では現在留学中の息子・娘さんの保護者の方々を対象に保護者会を実施しています。保護者会前に保護者の方々から提出していただくアンケートからたくさんの心配や不安を感じ、毎回、気を引き締める機会となっています。
留学3ヶ月を終了したオセアニアで頑張っている留学生たちの保護者の皆さんからのコメントです。
Q.お子様が留学するにあたり、心配なことや不都合な点がありましたか?
どのようなことで、今解決されていますか? A.
- ホストファミリーとの関係。
→電話をしたときに少しマザーとシスターに挨拶し、子供から生活面を教えてもらった。
- 出発直前まで毎日睡眠時間が短く、朝何度も起こされないと起きられなかったので、留学してからも自分で起きられずに、ホストファミリーにご迷惑をおかけしたり、学校に遅刻するのではないかと心配だった。
→今のところは緊張しているようで毎日自分で起きられているようだ。
- 体調が心配。体調不良の時に、ホストファミリーに本人が伝えられるかどうか心配だった。
→やはり伝えられず、ホストファミリーに誤解を与えてしまった。
- お金(カード)の使い方がわからなかった。
→留学先ではカード、日本では通帳で金額を見る。
- 荷物の量や持ち込物。
→なんとかなった。
Q.お子様が留学している現在、心配なことや不都合な点がありますか。 A.
- 健康面―ストレスが溜まると必ず胃腸(特に腸)を悪くするのが心配。
- 体調。
- 英語力。
- 漠然とした不安が常に付きまとっている。
- ホストファミリーとうまくコミュニケーションをとって生活できているか?
- 放課後の時間の使い方。ホストシスターは歌のレッスンに通っているため、一人で何か趣味を見つけてほしい。
- ホストファミリーに対して「いい子」になり過ぎていないか、無理をし過ぎていないか不安。
- ホスト宅と学校が変わって1週間ほど経った頃、緊張からか夜心臓がどきどきしてあまり眠れないとメールが来た。精神的に病まないか少し心配。
- 前のホスト宅では留学生の受け入れに慣れている方だったので、子供が負担すべき費用はきちんと負担させていただいていたが、新しいホスト宅では全部出していただいているようなので申し訳なく、今後の関係悪化につながらないか心配。
- 本人が学校や文際からのメールを受け取り出来ず困っていた。
- 帰国してからの勉強についていけるか心配。
- 心配してもどうなるものでもない。元気でいてくれるならそれでいいと思っている。
Q.今回の『保護者会』では、どのようなことをお聞きになりたいですか? A.
- ホストファミリーはどのような方法で決まるのか?
- 本人の誕生日に高価と思われるものをホストファミリーから頂いている。帰国するまでに何かお礼、プレゼント等送付した方が良いのか?
- 感謝の気持ちを何か…とは思っているのだが、何がいいのかわからず、贈りたいのだがお土産どまり。保護者会でアドバイスを聞きたい。
- 団体によって、渡航後、まず1週間や10日ほど研修をしてからのところもあるが、ないのはなぜか?なぜそれをしてくれないのか?どちらの方がその国に馴染みやすいのか?日本ではどうか?
帰国まであとわずか…留学8ヶ月を終了したアメリカプログラム参加者の保護者の皆さんからのコメントです。
Q.受験勉強や進学・進路についてのご心配、ご質問、ご意見等がございましたらお書き下さい。
A.
●学力の低下- 留学前までの学力をどの程度維持できているか心配。
●入試
- 一般入試で受験するならばとても不安。AO入試で決まるといいのだが…
- 帰国後すぐに受験体制に入れるか?受験まで時間がないので、すぐに方向を決めてほしいと思っているが、まだはっきりした進路を本人と話し合えずにいる。
- 荷物と一緒に受験資料を送ったが、自覚が少ないようだ。忙しくて考える時間がないとのこと。帰国後すぐに受験に向かっていけるのか心配。
- 英語以外の教科はかなり遅れているので、そこから進学先を選択しなければならない。短期間で本人にあった進学先を探し、合格できるか心配。
- AO入試などは時期が早いので対策が間に合うかどうか心配。
●1年間の授業のブランク
- 1年間のブランクについては塾に通って遅れた分を取り戻す予定だが、本人も覚悟の上で留学しているので、帰国後の本人の頑張りに期待する。
- 1年間の学校での穴埋めをどうするか心配のようだ。
- 1年間のブランクを受け止めて、取り組む気持ちになれるかは本人次第だが、心配に思う。
- 約1年間のブランクがあるので、授業についていけるかが心配。塾に通わせた方が良いのかも迷っている。
- 留学扱いで進級するため、高校2年の勉強をほとんどせずに受験して大学に合格するのか?
●その他
- 現実に戻って、周りとの差を目の当たりにすることと思う。親として、どの様なことを心がけると良いか。
- 留学後の学生の進路として、文理の割合を知りたい。
- 本人と話していないので何もわからない。これまでのOB・OGの保護者の方々もこんな不安な状況を過ごされていたのだろうか?
- 英会話はほぼ不自由なくできるようになって帰国してくるとは思うが、日本の受験英語がどれくらいできるのかが心配。
- 英語の力がどれくらい伸びているのか?(スコアなど)
- 留学中の成績がどのように内申書に表記されるかはっきりわかないため、推薦受験がどのような大学で可能か今後調べる予定。
- リスニング力が伸びないとの相談をよく受ける。最後まで伸びるから焦らずにとアドバイスしているが、TOEIC等、何かいい試験対策があれば教えてほしい。
Q.復学にあたってまた日本の学校や社会への再適応に関してご心配、ご質問、ご意見等がございましたらお書き下さい。
A.
●英語力- せっかくの英語を使わないと忘れてしまうのではないか心配。
●日本の生活への再適応
- 日本の学校との違いを感じることと思う。
- とても心配。現在、時々くるメッセンジャーの日本語も傍若無人で苦言を呈するほど。新しい学年で完全に浮いてしまいそうで、不安でならない。
- のんびりした生活だったので、日本の学校に適応できるのか心配。
- 現在の留学生活が充実していてあまりにも楽しそうなので、帰国後、(日本の)田舎での生活に退屈して気が抜けてしまわないか心配。
- 生活のリズムの違いに慣れるまでどれ位かかるかやや心配。
- 復学後は時間が過ぎると共に学校生活に慣れていくとは思うが、しばらくはいろいろな点で、楽しかったアメリカでの学校生活と比べ、不満や批判を口にすることは想像できる。周囲の人たちに不快な思いをさせないか心配。
- 帰国後、受験生ということもあり、不自由さも感じると思う。スムーズに日本での生活を自分らしく過ごしていけるか心配。家庭でも自立をサポートできるように親としてどうかかわっていくかを考えている。
- 日本の学校の先生に対して、アメリカの学校の先生との違いで不満がたくさん出てきそうな予感。アメリカでは先生方がよく理解してくれてとてもよかったと思っているようだ。
●その他
- 本人はたくさんの刺激を受けて考え方も大きく影響されて帰国、復学することと思う。時間と共に自分の中で折り合いをつけたり、今後の生き方に反映したりしていくと思うので、今は特に心配していない。
- 留学した親戚や先輩の話をよく聞いているので、参考にしながら学校や社会へ適応してくれると思う。
- 高校側から復学時期を夏休み明け2学期からを勧められている。帰国からかなり長い時間があり、その間の生活が気になる。毎日塾などに通う予定ではいる。
- 日本の高校は留学する生徒が多く理解が深いので特に心配していない。
Q.『第3回保護者会』では、どのような事をお聞きになりたいですか。具体的にお書き下さい。
A.
●近況- 頼み事以外連絡を取っていないので、現在の様子を知りたい。
- どんな問題を乗り越えることが出来たのか、どんな楽しい事を経験できたのか知りたい。知ったうえで、帰国後労いの言葉をかけたい。
- アメリカの高校での勉強はついていけていたのか?
●帰国までの準備
- 本人が帰国までにできること、しておくことは何か?(お世話になった方々、自分自身のこと、受験のこと)
- 荷物は船便で送れるのか、段ボールで飛行機に持ち込めるのか?
- アメリカの高校からの成績表は何部必要か?
●OBOG(SA)たちの体験・進路
- 帰国してどんなことが問題になったか。また、それをどのように対処したか?
- 帰国後2学期までの約3か月間、どのようにすごされていたか?(高3の受験生でない方の過ごし方)
- 帰国して高1から再スタートする場合、高2、高3からの方々と違って受験まで時間があく。この間をどのように英語力などキープしていたのか?
- 帰国後にSAがどのように英語力をキープしているか?
- 補習塾について必要か?お勧めがあれば先輩に教えてほしい。
- 帰国から復学までの間、また、復学後の学校生活で過ごしている時の気持ち等SAの体験を教えてほしい(不安に思っていた頃、嬉しかったこと、嫌だと思ったこと等)。
- 帰国後の進路は?
●帰国後
- 本人がすべきことは何か?(お世話になった方々、自分自身のこと、受験のこと)
- 親ができる支援は?
- 進学に向けて日本で親ができることはあるか?
- 再び留学を考えている生徒はどのくらいいるのか?
- 海外の大学へ行きたいと言われた時、慌てないように海外の大学留学の情報が欲しい
- ホストファミリーへのお礼は、手紙以外だとどの様な形が良いのか?
- 帰国後、TOEIC、TOEFL等で平均何点ぐらいとっているのか?
- 英検等受けた方がいいか?
- 休学扱いの場合、大学受験時に海外での取得単位は必要なくなるのだろうか?
- 帰ってきてから何を気をつけることで、この留学が今後に生きるかポイントを知りたい。今のままだとただ「楽しかった…」で終わってしまいそうだ
- 1年間の交換留学した経験をどのように生かすかは本人と家族次第だと思うが、帰国後から現実的な大学受験、環境変化等に対し本人のモチベーションを維持させるアドバイスはあるか?