「2018夏派遣オリエンテーション」振り返り【2018年05月17日号】
初日から解散までの3泊4日間に撮影されたたくさんの記録写真を見ながら、出発までの時間、私たちにできることは何かを考えて、より充実したオリエンテーションにするためにできることは何か、考えています。
これらの大切な行事のためにアメリカ・ミシガン州より受入団体FLAGの代表3名が5月2日に来日、全日程参加し、これから留学生として派遣される高校生たちとの交流を通し、たくさんのアドバイスと勇気を与えてくれました。
初対面の参加者も多く、極度の緊張感が伝わってくるスタートでした。グループごとの自己紹介の後、全員に日本語スピーチの発表をしていただきました。テーマは「誰のための何のための高校交換留学か?」。2日目朝の英語スピーチと同様、「オリエンテーションまでにきちんと暗記してくること」という指示に従えなかった参加者が多かったのは残念ですが、それぞれが一所懸命考えて書いたスピーチ原稿は留学中も読み直してほしいなと思う素晴らしいものでした。2名の日本語スピーチを紹介します。
僕は交換留学とは自分のためにするのだと思います。しかし、僕がこの留学をするために沢山の人が協力して下さっています。僕のために英語で書類を書いて下さった高校の先生方、働いて稼いだお金を払ってくれる両親、僕達の交換留学の準備をして下さっている文際交流協会の方々、無償で自分の家に住まわせてくれるホストファミリー、授業料免除で受け入れてくれる学校の先生方、多くの人がこの交換留学に協力して下さっています。
なぜこんなにも沢山の人々が僕達の交換留学に協力してくれるのでしょうか。それはこの方達は交換留学と僕達にお金ではないものを期待しているからだと考えます。
まず、ホストファミリーはなぜ自分の家に他人である我々を住まわせてさらにお世話までしてくれるのでしょうか。それは僕達に一緒に生活する中での良い経験や成長を求めているのだと思います。
僕が小さい頃に母や祖母が僕が描いた下手くそな絵や工作を保管してていました。「なんでこんなのとっとくの?」と聞いたところ二人が「あなたがこうやって大きくなっていくのが嬉しいからだよ」と言っていました。当時小学生だった僕は意味が分からず「なんでこの絵で僕の身長が分かるんだろう?」「なんで僕が大っきくなると喜んでくれるんだろう?」などと考えていました。しかし今はなんとなく二人が言っていた意味が分かります。まだ完全には分かりませんが、弟が歩き始めた時や、自分より下の従兄弟に優しくしようとしている時になんだか嬉しかったのと同じ気持ちなんだと思います。きっとホストファミリーも日々の暮らしの中で僕達が成長していく姿を見たり、感じたりといった経験を求めているのだと思います。
そのために日々成長出来るように新しいことに挑戦して行こうと思います。もちろん人一人分増えるのでホストファミリーには経済的負担も掛かると思います。なのでホストファミリーには自分を受け入れて一緒に生活してくれることに感謝することが大切だと思います。
次になぜアメリカの学校は授業料免除で受け入れてくれるのでしょうか。それは交換留学生を受け入れることによって学校に良い影響を与えたいのだと思います。僕らを受け入れることによってその学校の生徒達に異文化と触れる機会を与え、生徒達の国際性を高めようとしているのだと思います。そのために僕は日本の文化や習慣を正しく伝え、逆にあちらの風習や考えた方を吸収しようと思います。
アメリカの方々に「あの子を受け入れて良かった。また来年も交換留学生が欲しい」と思ってもらえるよう、自分が日本人として見られている自覚を持ち日本の代表として留学します。多くの方に支えられているこの交換留学を良いものにして将来に向けてグローバル社会の一員としての成長するためアメリカではいろんなことに挑戦していこうと思っています。
私には夢があります。私の夢は発展途上国に行って現地の人たちを助けることです。発展途上国とは主にパキスタン、南スーダンやネパールなどの国があります。多くの子供たちの親は貧しく、教育を受けさせるお金がありません。また、学校や勉強をするための施設がなかったり、勉強を教えられる人がいず、教育を受けることができない場合もあります。女性問題も今もなお続いています。多くの女性たちは社会的地位が低いことから、差別を受けています。南スーダンでは餓死問題があります。少なくとも約30000人もの人々がこの問題に直面しています。内戦によって食料援助が妨げられており、人々が食料不足に陥っているのです。ネパールでは水問題があります。水が整備されていないため、水をなかなか手に入れることができません。たいてい子供が何時間もかけて遠く離れた場所に水をくみに行っています。これらの問題の中でも特に私がやりたいことは子供や女性問題を解決させるために彼らを助けることです。私は子供たちは教育を受けることが当たり前、女性も男性もみな平等であることが当たり前な世界にしたいと思っています。それを自分の声で、自分の力で訴えたいのです。そのくらいこの問題を解決させたいと思っています。そのためにはまず、世界共通言語である英語を話せるようにならなければなりません。日本語しか話すことのできない私にとってこの交換留学という機会は英語を学ぶことだけでなく世界を変えるチャンスを得ることだと思います。また異文化に触れあうことでお互いの国の常識を知ることができ理解が深まります。もちろん私だけではなく次世代を担うリーダーとして私たちにはグローバル問題について考えることは必要なことですから、グローバルな人間になることが、今までのではなくこれからの交換留学の意義の一つだとだと私は思います。また、ホストファミリーやホストスクールはそういった人材を育てる助けも理由の一つとして無償で私たち留学生を受け入れてくれるのだと思います。ですから、私たちが積極的に人のためになることをすれば、ホストファミリーやコーディネーターたちは喜んでくれると思います。人のためになることは小さなことでもいいと思います。だから私は周りの人が笑顔になるようにたくさん会話をするといったことから始めていこうと思っています。現地に行ってからではなく今からトライします。
私は留学をより彩深く、有意義な時間にするために私の将来の夢に向けて懸命に頑張ろうと思います。また、交換留学生としての自覚を持ち、グローバルな人間になって帰ってきます。
1晩いっしょに過ごした後、皆とてもリラックスし、あちらこちらで笑い声も聞こえてくるようになりました。2日目から、アメリカの団体FLAG代表3名がオリエンテーションに加わり、日本語だけでなく、英語でのセッションもありました。「本当にあった怖い話」セッションでは、留学中に注意しなくてはいけない項目やルール、もしそれらを忘れ、失敗してしまったらどのような結果になるかを考えました。「厳しすぎる」と感じたり、「こんなこと、やるはずない!」と思った人もいるかもしれません。でもこれは「本当にあった怖い話」、そして毎年加えなくてはいけない新しいエピソードがあるのですこれ以上、「怖い話」が増えないことを祈っています。
いつの間にか、「全員が同じ目標に向かって進むという仲間なんだ」という意識を持ち、参加者が一つの輪になっていきました。日本の団体ならびにアメリカの団体による個人面接があるため、ちょっぴり緊張していた参加者もチラホラ…
今年から新たに加わった「こんな時の相談相手は?」というセッションでは、どちらかというとSOSを出すのが得意でない日本からの留学生たちが互いに話し合い、起こりうる問題に対して相談すべき相手「Aホストファミリー」「Bコーディネーター」「C受入高校のカウンセラー」「D他の日本人留学生」「E現地団体」「F文際交流協会(日本の団体)」「G保護者」「Hその他」を色別カードで答えてもらいました。初めての試みの割にはスムースに進んでいたのですが、アメリカの代表たちがこのセッションを大変気に入り、そのために設問ごとに解説をし、コメントを述べるという予想外の展開になりました。そのため、この日予定していたいくつかのセッションを変更することに…手伝ってくれていたSAたちも「臨機応変」を学んだ時間でした。
SAたちによる「こんなふうになってはいけない悪い高校交換留学生」を題材にした劇は大成功!これまでは英語で演じていましたが、「見ている留学生たちに100%理解されていないのでは?」ということで今年は全部日本語でのプレゼンでした。アメリカの代表たちには英語に翻訳した台本を渡し、これも好評でした。SAの演技力に皆感動…留学後もこの劇のこと、忘れないでいてほしいと思います。
いよいよ最終日。3日前までは全く知らなかった人たちもこの頃には「友達」に…心構えの最終確認や英語テストの後、解散。アメリカの代表たちに「ありがとう」の感謝を込めて全員がメッセージを書いた色紙を渡しました。
この4日間の参加者の気持ちや考え方の変化は、ケーススタディの回答や映画鑑賞の感想に見ることが出来ます。これらは現在SAたちによって添削中です。
たくさんの記録写真の中に写っているSAたちの表情はある時は優しい先輩の顔、そしてある時は厳しい指導者の顔。つい何年か前は、一参加者としてオリエンテーションに参加していた彼らがこんな頼もしいリーダーになってくれたことに改めて感謝です