Ikigaiと“Bear cub climbs mountain to reunite with mama bear”【2018年11月17日号】
与えられた環境に慣れてきた留学生たちにとって、これまですべてが新鮮で輝いて見えたものがなぜかつまらなく、退屈に映ってしまう時期。
「どうして留学なんかしたんだろう…」「こんなに頑張っているのにどうしてうまくいかないことばかりなんだろう…」そして「ここにいることは時間の無駄じゃないか?」と後ろ向きに考えて自己不信に陥ったり、でも同時に「絶対頑張らなきゃ…」とちょっぴりポジティブになるというこの時期特有の心の葛藤は、多くの留学生たちが体験してきていることです。こんな気持ちとどのように付き合い、整理し、より安定した時間を過ごせるようにするかは留学生本人だけが出すことのできる結論です。スマホに入っているどんなに優れたアプリも、たくさんの応援してくれている人たちも、いろいろなヒントを出してくれるかもしれませんが、最終的には「自分で考え行動に移すこと」でしか解決できません。でもこの壁を乗り越えられた時、必ず「自分の強さ」を実感できるはずです!
「日本からの代表」という役割が重荷に思えることもあるかもしれません。「日本について興味を持っている人なんかいないし…」と感じることがあるかもしれませんね。でも「日本」や「日本人」について海外のたくさんの人たちが関心を持ってくれていることを実感したエピソード、そして折れそうな心への「癒し」をお届けします。
Ikigai(生きがい)が世界で通じる日本語に…
夏に出発した留学生たちの心の変化にちょっぴり敏感になっていた時、アメリカの団体で留学生をお世話してくれている担当責任者から朝4時にメールが届きました。「またトラブル!?今度は誰?」とドキドキしながらメールのタイトルを確認すると“Re. Ikigai”と書かれていました。「Ikigaiについて?誰それ、そんな名前の子、派遣していないし…他の国の子?」と半分寝ぼけて内容を確認すると “I know you are very busy, but when you have a minute, can you tell me more about what Ikigai means?” (あなたがすごく忙しいのはわかっているけれど、もし1分でも時間があったら、「生きがい」の意味を教えて)と4つの丸が重なり合って、重なり合う部分にIkigaiと書かれたベン図が添付されていました。
なぜこんな質問があるのか不思議に思い、さっそくをネットで調べたところ、ここ数年でIkigaiという日本語がそのまま世界に通じる言葉になりつつあるということを学びました。もともとこの言葉が広まるきっかけは世界の長寿地域の取材の中で、沖縄で元気に過ごす高齢者の方たちを取り上げたThe Blue Zones (Dan Buettner著)だったようです。その中でIkigaiが長く幸せに生きるために不可欠な要素であるという説から、その後、多くの書籍等でIkigaiが紹介されてきました。最近はIkigai: The Japanese secret to a long and happy life (Héctor García / Francesc Miralles共著)という1冊の本が海外の人たちに注目されているようです。海外でのこの言葉や意味の解釈は、図にあるように「自分が大好きなこと」「得意なこと」「まわりが必要としていること」「対価を得られること」のすべてが重なり合った中心にIkigaiがあるというものです。休暇もあまりとらず、長時間労働をしているにもかかわらず、日本人の日々の生活が充実し、長寿大国であるのは私たち日本人にIkigaiがあるからだそうです。
深い意味を考えることなく、何気なく使っている言葉が海外で流行り、「日本人はIkigaiを持つ国民」と好意的に評価されていることを知り、嬉しくなりました。そして、留学生をお世話してくれるパートナー団体担当者の「日本や日本人のことをもっと知りたい」という気持ちを知り、まず「ありがとう」の言葉を返信しました。
日本を代表する留学生の皆さん、Ikigaiの意味やあなたの意見を求められたら説明できるようにしておいてくださいね!
“Bear cub climbs mountain to reunite with mama bear”
最近様々なメディアでも取り上げられていた母熊と子熊の動画、ご覧になった方も多いことでしょう。
(You Tubeより引用:https://youtu.be/rhjBXnEFKQs)
いろいろな思いを運んでくれるこの動画ストーリーに、私たちは「高校交換留学」を重ねていました。母のいる山頂に、何度も滑り落ちてもあきらめずに懸命に近づこうとする子熊、少しでも登りやすい道を探して休むことなく前進する子を心配そうに見守る母熊、そしてあと一歩で近づく所で出した母熊の手でまた雪の斜面を滑り落ちてしまった子熊。海外で頑張る留学生たちは、この子熊のように、必死にゴールを目指し頑張っている、そして、母は子熊が必ず自分の力で自分の元に上ってくることができると信じている…この映像を何度も見ながら「頑張れ!頑張れ!」と応援してしまいます。留学中の皆さん、諦めないで前進してください!