“When in Rome, do as the Romans do” 「郷に入っては郷に従え」【2019年01月17日号】
何気なく使っていた「新しい土地では、その土地やそこに住む人たちの文化、風俗や習慣に従って行動すべきだ」
「ローマではローマ人のように振舞いなさい」という意味のこれらのフレーズ…もともとは中国の諺であることや、同様の意味を持つ英語は4世紀のミラノ司教(Bishop of Milan)である聖アンブロジウスの言葉の訳であることがとても新鮮に感じる今日この頃です。
事前に訪問先について知ることが大切…
異なる風習や文化背景を持つ人々が暮らす新しい場所を訪ねる時、その場所について事前に調べることは大切だと感じます。たとえ短期間の観光旅行でも、有名な観光地や土産品だけでなく、その地域の歴史やそこで暮らす人たちの守っているルールや常識は調べてほしいものです。
高校生交換留学プログラムの場合、留学前オリエンテーションにおいて留学先国の文化や習慣などを説明し、「違い」を受け入れることの大切さを学ぶ機会を提供することが留学団体の義務となっています。しかし、事前オリエンテーションや到着後オリエンテーションでさまざまな情報を提供されていても、実際に生活していくうちに留学生たちは「郷に入っては郷に従うこと」の難しさを実感します。私たちも留学生たちからの相談に「オリエンテーションでも説明したでしょ!」と次のようなQに対しAをリマインドする日々です。
●日本に来ている受入生の場合…
ホストファミリーからハグをしてもらえなくてホームシックになってしまった…。 日本での挨拶や愛情表現の方法は欧米とは異なります!家族がみんな揃って一緒に食事をしないので寂しいし、変だと感じる。
ホストファーザーはいつも遅く帰ってくるので話す機会がない。 日本では、お父さんは夜遅くまで仕事をしているというのは珍しいことではありません!夕食までに戻ってこられないことは多々あり、お母さんと子供たちだけで食事をするのは「変なこと」ではありません!
毎日洗濯物をださなくてはいけない。そんなに汚れていないのに…。
お母さんが毎日自分の部屋を掃除するために入ってくる! 日本人はきれい好き。毎日洗濯をしたり、掃除をするのはよくあることです!
毎日3度、決まった時間に食事食べる。夕飯の前にお腹すいた時、何か食べようとすると『ご飯が食べられなくなるから』と言われる! 朝昼晩3食きちんと食べることは日本の家庭ではふつうのことです!だらだらとスナックを食べることはお行儀が悪いとみなされます!
時間に厳しい。 これが日本です!
お手伝いしようとして『大丈夫』と言われたからテレビ見ていたら、コーディネーターから電話がかかってきて怒られた…。
お母さんが『友達と出かけてOK』と言ったのに、OKじゃなかったらしく、団体の人から注意された… 。 「本音と建前」覚えていますか?
●海外に留学中の派遣生の場合…
自分の部屋のドアを閉めて勉強していると『部屋にこもるな』と叱られる…。 日本での挨拶や愛情表現の方法は欧米とは異なります!リアクションが大袈裟すぎてついていけない。 相手からすると、日本人は感情表現が乏しく何を考えているかわからないと思われますよ!
予定がコロコロ変わる。 何かもっといいアイディアがあるとそちら予定変更することもあります!
食事のレパートリーが同じ。 これがその国のやり方!
キリストの存在を本気で信じている。 「私は無宗教」「神様は信じない」という日本人の考えの方が不思議がられますよ!
何か聞かれて『どっちでもいい』というとはっきりしなさいと怒られた。 白黒はっきりしないのは欧米では×!
自分のやってきたやり方や考え方と異なることを受け入れるのは容易いことではありません。まずは「いろいろなやり方や考え方があるんだ」と「違い」の存在を認め、「違い」を楽しみ、そして、違ったやり方や考え方を自分でも試してみることで、これまでになかった何かが自身に加わっていくのではないでしょうか。
オセアニアから帰国した留学生たちの「帰国後レポート」より(その@)…
振り返れば「あっという間だった」と感じる10ヶ月…昨年12月に帰国した留学生たちの帰国後レポートを紹介します。
日本に帰国してまず感じたことは?
- 帰国した嬉しさよりもはるかに寂しさのほうが多かった。
- 近未来的に感じました。
- 東京は機械のような街に見えた。
- 匂いが違う。
- 周りの人が日本語を話していることに違和感!
留学前の自分自身と比べて、変わったと思う点は?
- 自信がつき、自分で考えて行動するようになった。
- 主に思考回路が変わった。
- 他人の価値観を以前よりも認められるようになった。
- 積極的になった。
- 自分のことは自分でするようになった。
この留学によって得たものは?
- 体重。
- 友人、家族、英語の教材。
- 自分のことは自分でするようになった。
- スピーキング力。
- 辛い時でも堪えぬく心の強さ。
- 自分を支えてくれている人への感謝の気持ち。
- 心の豊かさ。
- 他人の価値観を認めること。
- 精神的強さ。
- 他人への尊敬。
- メンタルの強さ。
- 自信。
留学を振り返ってみて、一番充実していると感じた時期や、楽しかった出来事は?
- ウルルに行ったとき、日本人は私だけで後は全員ヨーロッパ出身だったが、友達も作れて、その時はじめて自分の英語力、内面的なものが成長していると気づけた。
- 最初の半年間は、成績のことを把握していなかったがゆえに、クレジットのことで悩むことなく楽しく過ごせました。
- ゴールドコーストでの留学期間、ウルルへのアウトバックツアー。
- 友達とたわいもないことを話していたとき。
- たくさんの学校の行事に参加できたことや、日本へ帰る前に友達がお別れパーティーを開いてくれたこと。
留学中で、一番つらかった時期や出来事は?
- テストが一杯の学校生活、夜中何度読んでもわからない小説を泣きながら読んだり…。オーストラリアの友達、ホストファミリーに相談したりして周りの人に助けてもらった。
- 自分の意志が伝えられなかったり、相手の言っていることがわからなかった時。とにかく会話を聞いたり話したり、テレビを見たりして頑張りました!
- ホストファミリーとの関係がうまくいっていなかったとき。ホストファミリーと話し合った。
- ありすぎてわからない。1つ言えるのは行く前にもっと勉強しておけばよかった。
- もっと早く成績のことを気にしていれば、ここまで苦労していなかったと思います。
- もっと積極的に自分から話しかけていればよかった。
- もう少し積極的に授業でのグループワークに参加していたらよかった。
- ホストファミリーに最初から言いたいことを言えばよかった。
留学先に持っていって喜ばれたもの、役に立ったものは?
- 日本の伝統的なもの(書道、折り紙など)。
- 自分に身についているものすべてが役に立つと思う(趣味、特技など)。
- 主にポケモンカードと日本の食べ物が喜ばれました。
- 折り紙
- 紅茶、扇子。
- 日本のお菓子
- 文法の教科書
- クリアーファイル
語学について
- 必死にやったほうがいい。オリエンテーションで聞いていた「留学先で英語を学ぶのではなくて、英語で学ぶ」というのを留学先で痛感した。
- 最悪、類義語を使えばどうにかなるので、語彙力を身につければよい。
- 中学英文法の復習、アカデミックな英単語の復習。
- 高望みしすぎるのは良くない。出発前から簡単な相づちを知っておくと便利かも。
- 文法を勉強する。
- 洋画などを見て、リスニング力を上げる。
生活面について
- 自分のことは自分でやる習慣をつける(洗濯、掃除、料理)。
- 手伝いを積極的にやる。
- 日本食をたくさん食べておく。料理を何品か自分で作れるようにしてお。
- 友達とたくさん遊ぶ。
- 家族との時間を大切にする。
その他の準備など
- 自分の行くところをよく調べておく。
- 日本のこと、文化、自分の街のことをよく知っておくこと。
- 留学先の国や文化について勉強する。
- 留学先で何をしたいかよく考えてから行く。
人間関係
- 自分から積極的に相手に接する努力をする。
- 会話のネタを常に用意しておく。
- 先生と仲良くしておく。
- 他言語で会話の一つ一つが大変で疲れるけれど、そこを頑張って、笑顔でたくさんの人とかかわって良い人間関係を保ってほしい。
- 友達は大切に!
- ホストファミリーとの関係が上手くいかなかったら話し合う。
- ホストファミリー、友達とけんかなどしたことは一度もない。恥ずかしがりや、英語がうまくしゃべることが出来ない自分にどうしてこんなに話しかけてくれるんだろう、助けてくれるんだろう、逆に自分はこの人たちに何ができるんだろうと考えさせられることが一杯あった。
学校
- 勉強はとっても大変だった。だが相談すれば先生も友達も必ず助けてくれる。聞くことを恐れず、わからなければ絶対聞く。
- わからないことは先生、ホストファミリーやコーディネーターに聞けばどうにかなる。
- 復習を忘れずに。
- どの教科も最初は大変だけど友達や先生にわからないことを聞いたりしてコミュニケーションをとったり、日本ではないような行事もあるし、何事にも積極的に楽しむこと。
- 多くの人に話しかける。
- 行事に参加する。
- 部活動に参加する。
その他
- 英語力だけでなく、自分の趣味、特技など身についているものすべてが役に立つ。仲を縮めるきっかけになったり、たくさんの人たちに出会えるきっかけにもなると思う。
- 何にでも挑戦!!
- 日本の友達と連絡を取りたいならば英語でとる。携帯を触る時間があるのなら、外に出かけたり友達と遊んだり、今しかできないことを楽しむ。