2月は次のステップへの準備の時間…【2019年02月07日号】
2月に入った早々、複数の留学生たちが滞在する米国の中西部は猛烈寒波に見舞われ、マイナス54℃の体感気温を記録した地域もあるとのニュースが入ってきました。ちょうどアメリカでは、留学生たちがオプショナル・ツアーでフロリダのディズニーワールドに旅立つ日…南極並みの地域に住む子たちはホストファミリー宅から空港に行けるのだろうか、それぞれの滞在地域から飛行機は出発するのだろうか、ツアーに行かない子たちはどうやって過ごしているのだろうかと心配は募るばかりでした。
そんな時、ミシガン州に本部のあるアメリカの団体から
“The State of Michigan has declared a state of emergency due to the cold temperatures that we're expecting overnight and into the next 2 days. The good news is that all your students are fine, their schools are closed and students will be safe and warm at their homes. There is no need for worry but we wanted to make you aware…”
とホッとする報告が入りました。一方、先日、日本から帰国した受入生たち、そして、出発したばかりの留学生たちが滞在する南半球のオーストラリアではまだまだ暑い日が続いているという情報が入ってきました…自分の住む地域のことを心配するだけならどんなに楽なのかという気持ちで始まった2019年2月ですが、高校生交換留学プログラムにとって、どの年の2月も次のステップに向けての準備期間となる大切な時間です。
それぞれにとっての2月…
選考試験時の面接で「高校交換留学は辛いことも多いと言われますが、どんなことが辛いのだと思いますか?」という質問に対し、多くの応募者から「言葉が通じない」「相手の言っていることが理解できない」「言いたいことを英語で伝えることができない」という答えが返ってきます。「言葉(英語)ができるようになれば辛くない?」「英語が母国語の、例えばイギリスからの留学生がアメリカに高校交換留学生として滞在すると何も困らない?」と問うと「う〜ん」と考え込みます。 高校生交換留学が辛い原因は語学力不足だけ?!
確かに、語学力が足りないために誤解されたり、留学先の学校での授業についていけず、苦労することはあります。そして、近年は英語を母国語としない国からの高校交換留学生については、受入国の団体から高い語学力を求められるようになってきています。そのため、派遣生たちの合格基準も年々上がっています。実際、数年前と比較すると、英語の筆記試験で高得点を出す参加者も増加しています。しかし、高得点を出して留学したからといって「辛いこと」がなくなるものではありません。語学力に関係なく、帰国した参加者たちからは「留学中、辛いこと、苦しいことはたくさんあった」といった体験話を聞かされます。
「語学力」=「コミュニケーション力」でないということ、留学中は四六時中、異文化での生活に適応するために自分自身が相手にあわせていく努力しなくてはいけないということ、さまざまな幸せの形があることを認識し、受け入れること…「英語の筆記試験は余裕で合格しているから大丈夫…」「英語の勉強は継続しているから留学先でもばっちり!」と安心している参加予定者たちに、オリエンテーションが今一度「高校交換留学は何か?」を再認識し、高校交換留学中に遭遇するであろう困難をどのように乗り切るかを考えていただく機会になるようにしたいと思います。
今年のオリエンテーションはロング・ゴールデンウィークの5月2日〜5日の3泊4日間、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにて実施予定です。 2019年夏出発生オリエンテーション
私たち主催者側の今年のオリエンテーションで達成したい目標、それは留学前の参加者全員に「考える→自分の考えをまとめる→表現する」という習慣をつけていただくことです。そのため、オリエンテーションの課題の中に今年は日本語作文を加えました。
作文のテーマは、
「留学先で伝えたい『日本』『日本人』について」−作文をまとめるにあたり、
「自分自身の考える『日本』『日本人』の素晴らしい点とは何か?」
「外国人に『日本』『日本人』はどのように写っているのだろうか?」
「留学先で自分のどのような『日本人的特色の言動』が誤解されると思うか?」
「グローバル化の流れの中で、『日本』『日本人』の特色で捨ててはいけないもの、捨てなくてはいけないものは何だと思うか?」
等を考え、いい点も悪い点も含め、それぞれが伝えたい『日本』『日本人』とは何かを具体的な例を挙げながら、自分自身の言葉で意見をまとめていただきたいと思います。
オリエンテーションでは、今年も例年通り、アメリカの団体の代表団も参加し、参加者全員の面接を行います。また、彼らの前で、参加者たちは事前に用意したスピーチを披露していただきます。このスピーチのテーマは「私の理想とする日本・世界・地球--未来の私ができること」原稿を作成し、そしてすべて暗記し、オリエンテーションに臨んでいただきます!
確かにこれらの課題は日本での学校生活を忙しく過ごす参加者にとって生易しいことでないことは重々承知しています。しかし、派遣される高校交換留学生は、派遣国の代表として選抜された「高校生外交官」であるということ、そして、このプログラムの大きな目的が、留学生自身の語学力や成長のみでなく、受け入れてくださった人たちに留学生のお陰で「『日本』『日本人』のことを知ることができた」 「『日本』『日本人』のことを大好きになった」と実感していただくことだということを再認識し渡航してほしいと願っています。