留学先で伝えたい 「日本」 「日本人」 について【2019年04月17日号】
留学先で日本や日本人について伝えることは高校交換留学生の大切な使命の一つです。今夏アメリカ、オランダに向けての出発予定生には「留学先で伝えたい『日本』『日本人』について」というテーマで日本語作文を提出していただきました。「日本」のいい点については、「平和」「安全」「清潔」「充実した食生活」といったコメントが多く見られました。そして、それぞれが考えた日本人のいい点について次のような言葉が並んでいました。
- まじめ
- 謙虚
- 礼儀正しい
- 協調性がある
- 時間に厳しい
- 期限を守る
- マナーを守る
- やさしい
- 思いやりがある
- おもてなしの精神
- 気遣いができる
- 気配りができる
- 空気を読める
- 自分のことよりも他を第一に考えて行動する
日本の家族から離れ、海外で一人で生活したことのない高校生たちにとって、改めて日本人のよさを考え、自分の言葉で表現することは容易ではなかったようです。消しカスと一緒に届いた手書きの作文を手にしながら「頑張って考えたんだろうな」と、改めて日本の高校生の真面目さを感じ取りました。作文に書かれていた頭の中で考えたこと、想像していることを実感できるのは、実際に留学をしてからかもしれません。
一つ忘れてはならないこと、それは、日本人の良い点として海外の人に紹介したいと挙げた項目について、高校交換留学生は、これらを留学先で自らの言動で示し、伝えていかなければいけないということです。「あー、日本人ってこんなに素敵なんだ…もっとたくさん日本人と知り合いになりたいな」と受入先で出会うたくさんの人々に評価されるよう頑張ってほしいものです!
SAたちからたくさん学んでいます!
複数のSAたちが5月2日からのオリエンテーションに向け、準備を手伝ってくれています。留学予定生から戻ってきたケーススタディの回答チェックは、SAたちにとってもいろいろ考えさせられる作業のようです。そして、彼らの出した評価を見ながら、私たちはそれぞれの大きな成長を感じています。例えばケーススタディの中に次のような設問がありました。
私のホストファミリーはシングルマザーで、年齢も日本のおばあちゃんと同じくらい年をとっている。食事を作ってくれたり、車で買い物に連れて行ってくれたりするが、正直2人だけの生活はつまらない。私が望んだのは、ホストファザーとホストマザーと同年齢のホストシスターがいる家族だ。どうして団体は理想のホストファミリーを探してくれないのだろう?
Q : あなたがこの留学生の立場に置かれたらどのように対処しますか?
留学予定者たちの多くの回答は、「学校の友達といっしょにどこかに出かけるようにする」
「いくつかの部活に入って家にいる時間を少なくするようにする」
「自分の部屋で勉強していい成績を取るように頑張る」と、与えられたこの状況の中でいかに退屈せずに時間を過ごすかを考えて出されたものでした。これらの回答に対しSAたちが出した評価は△。「この子たちは現実を受け止め、自分で何か解決できないか考えているけれど、どこが間違っているの?」と聞くと「高校交換留学生としては失格です。自分を子供として預かりたいと申し出てくれたホストマザーに失礼です!まずはホストマザーと一緒に何ができるかを考えるべきです!」という厳しいコメントを頂きました。
そんなコメントを聞きながら今から9年前にアメリカに派遣したあるSAのことを思い出していました。彼は当時70歳を超えたシングルマザーのところにホームステイをしていました。近所にホストマザーの孫たちは住んでいましたが、日常生活はホストマザーと彼の二人だけ。留学生活開始数か月後、毎月団体から送られてくるホストファミリーと留学生のインタビューをもとに作成されたレポートを見て一瞬ドキッとしたコメントを見つけました。その項目は「留学生がホストファミリーから頼まれた仕事をいやがらずにお手伝いをしているか」を問う質問でした。なんとホストマザーの回答欄に “NO!!”と大きく書かれていたのです。「どうして…何故言われたことをしていないの?いい子だと思っていたのに…」と一瞬がっかり。しかし、回答欄の下に「私は彼にお手伝いを頼むことはしていない。なぜなら何かを頼む前に彼は自分のところに飛んできて、必要なことを全部やってくれる!」と書かれていました。お手伝い以外のことでも、彼はホストマザーとの時間を何よりも大切にし、どうやったらホストマザーの役に立てるかを考え続けていたそうです。結果、彼は受入団体からも“Golden Boy”というニックネームをもらいました。もちろん、そんな彼も留学中にはたくさんの失敗をし、日本のご家族を心配させたこともありました(笑)。でも受入先の人たちにとって、彼の言動は高校交換留学生の見本となっていました。そんな彼は、留学中、高齢のホストマザーがお世話になっていたホームドクターの仕事を身近に見ることで、留学前にはさほど関心を持たなかった医学の道に進むことを決意。今年4月から某大学病院のDr.としての道を歩き始めまています!
もうすぐSA、体験者だから伝えられる言葉
文際交流協会BIEEのHPに掲載されている体験談ですでに読まれた方もいるかもしれません。レポーター奨学生Hinataさんから、前々回のBIEE通信に書いたケーススタディについてのコメントを頂きました。
思わず「BIEE通信のフォローもしていただき感謝 感謝 そして感謝です!もう立派なSAですね」とメッセージを送ってしまいました。体験者の言葉はきっとこれから留学する高校生たちに響くことでしょう。15〜18歳という著しく成長する時期に、もしかしたら留学していなくても彼ら彼女たちは成長していたのかもしれません。でも、高校交換留学生活の1年間があったから、日本で過ごしていたのとは違う彼ら彼女たちが存在していると確信する今日この頃です。