Hinaのカンザス州(アメリカ)への高校生-留学-体験談 3ヶ月目
だんだんと寒さも増し、冬の空気を感じます。この1ヶ月は、以前に増してより時間を速く感じました。また10月20日からは、学校の1年の2/4が始まり、何もかもが速く過ぎて行き、また近づいて来て、すでにアメリカでの日々を惜しく思う毎日です。
私は、英語力の目に見えた上達というものはなかなか現れないものだと、今月の始めまでは思っていました。しかし最近、大きな英語力の上達を感じました。家族と一緒に通っている教会でのメッセージや、学校で先生が言うことが、ふと気づくとほとんど理解できていたり、家族内での会話も、自然に聞き取れるようになってきました。時に、常に流れてくる英語を聞き取る耳と、それを理解する脳が疲れて、全ての神経を話し手に向けて集中させなければ、英語が頭に入らず流れて行ってしまうこともありますが、極端に速い英語でなければ、きちんと理解できる力はついてきました。また、授業の中で発表する機会も時々あったりするからでしょうか、話すことにも少しずつ慣れて、自信も少しずつ出てきて、自分の言いたいことを伝えられる機会が、以前よりも増えたと思います。そうしている内に、頭で英語を組み立ててから発言するのではなく、言いたいことが頭に浮かんだ時にとりあえず言葉を発し、それから文章を作っていくということも増え、ゆっくりですが、だんだんと自然に言葉が出てくるようになってきました。今では、以前、英語で表現できないからと自信を持てないことで、どれほど言いたいことを諦め、我慢してきたのだろうと思うほどです。
毎日の生活を通してたくさんの単語を学び、自分の知識にはなかった新しい言い回しを覚えたりと、日々英語を学んでいます。その知ったり覚えたりした英語を、実践的に自分が使えるようになるのは難しいものですが、間違った英語の発音や使い方をすることを恐れずに、とにかく言ってみることが大切だと気づきました。私はそうして、自分で作り出してしまった妙な英語を、家族や友達が修正してくれ、正しい英語を学ぶことができる体験を、たくさんしています。
そんな中、私は学校生活で、大きく分けて3つの困難に直面しました。
一つ目は、カルチャーショックです。お菓子作りを頻繁に行う家庭科の授業で、同じグループで活動する生徒は皆、食品の扱い、後片付けの仕方や、衛生面でもとにかく考え方がおおざっぱなのです。綺麗好きな私は、他の生徒が、明らかに清潔でない水で食器を洗っているのを見て、それをもう一度洗ったりしていました。しかし、そのおおざっぱさは彼らにとって普通のようで、理由は説明したものの、私は、同じグループの生徒に変な目で見られていることに気がつき、それ以来、彼らのやり方を受け入れ、我慢するようになりました。私が少し綺麗好きすぎるのか?と疑うこともあり、それは確かなのかもしれませんが、アメリカ人がおおざっぱなのも、少なくとも私から見れば確かです。しかし、彼らにとって普通であることを私1人が変えようとしたり、私なりのやり方に直そうとしたって、それは難しいことであり、また私の普通は、彼らにとっては普通でないかもしれません。少し難しいことですが、私はその彼らの習慣を受け入れようと決め、また自分に与えられた仕事をする際には、自分の方法でこなせば良いと、そう思うようになりました。きっとこれからもあらゆる場で、カルチャーショックにぶつかることはあると思いますが、文化はというものは、違うからこそ学ぶ楽しみがあり、自分の持つ文化との違いを共有し合うこともできます。この経験は、違いを「受け入れる」ということが、どんなに大切かを学ぶ機会となりました。
二つ目は、普段の生活の中で感じる孤独感です。本当に独りぼっちになるという機会はあまりありませんが、大勢の人が周りにいる時こそ、その中に入れないと孤独を感じるのです。留学生だから…アメリカ人じゃないから…と、会話に入るのを遠慮してしまうことも実は多く、まだ勇気を持つことさえ難しい時もあります。チャンスが来たらーと、待ってしまい、結局何もこない。チャンスは自分で掴みに行かなければ何も起こらないと分かっているのに、それができず、人との関わりや、楽しむことからも逃げている自分に気づかされます。しかしまず一言投げかける、それだけで、会話や友達の輪も広がることを私はオリエンテーションで学び、またすでに体験しています。その経験を思い出し、たくさんの出逢いに感謝しつつ、勇気を出すというリスクを背負いながらですが、英語力の上達や新しい友人関係に期待して、会話の中でもっと自分を表せるよう頑張りたいです。
そして三つ目は、まだ必死になっても追いつかないことが幾つかあることです。英語の授業で出た課題に、長い文章を読んで内容を理解し、注解付けをするものがありました。その本を開くと、知らない単語で溢れていて、内容を理解するにはその単語をひとつひとつ日本語に直す必要がありました。見たことある単語や、以前習ったことのある単語でも、他の単語と混ざって意味を忘れてしまっていたり、ついさっき覚えた単語も、文章を読んでたくさんの単語を見ている間に忘れてしまったり。同じ宿題をする英語が上手な他の留学生は、私より何倍も速くこの宿題を終わらせるんだろうなと、いつの間にか自分と他を比べてしまっていたり。。日本語でさえ本を読むことが苦手な私は自分に失望し、終わりが見えずにくじけて、つい泣いてしまいました。しかしそれに気づいたホストマザーは励ましてくれ、「私はあなたの頑張りを知ってるし、先生も分かってるから大丈夫」と言ってくれ、またホストシスターはその話の文を見て、「古い言葉が多いから、全部知らなくても大丈夫だよ」と言ってくれました。学校のランチタイムでは、その宿題のことについて友達に何気なく話すとなんと、「手伝ってあげる!」と助けてくれました。英語の先生にも、十分に出来なかったことを正直に伝えると理解してくれ、授業中には個人的にサポートしてくれました。そんな日々のひとつひとつの支えが、私を強くし、また頑張ろうという気持ちにさせてくれます。辛く、大変な状況にいるからこそ、何気なく毎日廊下で挨拶してくれたり微笑んでくれる友達、名前を覚えて呼んでくれる友達や、さりげなく一緒にいてくれる友達、毎日の家族の気にかけや声かけなど、たとえ小さなことであっても、それらに対して喜びの気持ちが生まれ、感謝できる私となりました。
そんな私の学校生活は、宿題の多い日は特に忙しく、放課後帰ってから宿題を進め、通常18時からあるミュージカルの練習のため学校に行き、その帰宅後また宿題に時間を費やして。。毎日そんな生活で、私は家族と過ごす時間が少ないことに、ある日気づきました。家族全員が揃うことは頻繁にはありませんが、学校の宿題にたくさん時間を使って、楽しむことや、家族との貴重な時間を失いたくはないというのが本音です。しかしだからと言って、宿題があるのにそちらを優先してばかりではいられないのも事実です。しかしだからこそ週末は、家族との時間をできるだけ多くするように心がけています。
そんなこともあり、今月は、ホストファミリーとの距離がより縮まったような気がします。学校が休みの日にはホストシスターたちとショッピング、またホストファザーが乗馬に連れて行ってくれたり、ホストブラザーと庭でキャッチボールをしたりと、他にもたくさんの家族との時間を楽しく過ごしました。今の私にとってホストファミリーは、一日の生活の中でいちばん居心地の良い場であり、またなんでも言える存在となっています。また、家族との時間を過ごす中で、とても嬉しかったことがありました。それは、家族が食卓に集まり、ホストファザーがお祈りの中で、私がここにいることの感謝を捧げてくださっている時、ホストブラザーの1人が、首を大きく縦に降ってくれたのです。やはり他人のお宅にステイするにあたって、自分がホストファミリーに、家族の一員として馴染めているのか不安になったり、またホストファミリーが、私が家族の一部となって過ごすことで、不満を抱いていることがあるのではないかと、心配になることもあります。しかし、そんな風に、私がここにいることを喜んでくれている家族がいることを知り、また毎日、他のホストシスターやブラザーたちと同じように、私に愛情いっぱいのハグや言葉をくれるホストファザーとマザーを考えた時、そんな考えは消え去り、この家族と一緒に暮らせていることを、心から幸せだと感じます。
また嬉しいことに、私は今月、学校で新しい友達に出会いました。彼女はとても素敵な子で、私の流暢でない英語を理解しようとしてくれ、また私が彼女の英語を理解できなかったときも、もう一度言ったり、説明したりしてくれます。さらに会話が全てスムーズには進まない私に、毎朝会いに来てくれるのです。彼女は日本に大変興味があって、互いに言語を教え合ったりと、彼女と過ごす時間は毎日の楽しみです。私はある日、彼女と将来の夢について話していました。彼女は、「大学を出たあと日本に行って英語の先生をしたい」と語ってくれました。将来のことを真剣に考えたことがなかった私は、その後彼女から影響を受けて、少しずつ大学や将来について考えるようになりました。私の人生に影響を与えてくれる、そんな友達を持てて、今すごく幸せです。
たくさんの経験をしたこの留学3ヶ月、本当に速かったように思います。まだ8か月もあると思ってのんびりしていたら、きっと留学はすぐに終わってしまうでしょう。また、今月の最後にはハロウィン、11月にはミュージカルの本番とサンクス・ギヴィング、12月には学校の1年の2/4が終わると同時にクリスマスがあり、1月にはニューイヤー。たくさんの大きなイベントが続くこの秋と冬は、より時間を速く感じるはずです。アメリカでの1日1日を、めいいっぱい楽しもうと思います!
私は、この留学を通して自分を大きく成長させ、また変えたいと心から思っています。留学の始めに参加したオリエンテーションでは、思考を変えれば行動も、未来も変えられると教わりました。今月、始めの頃はまだホームシックにかかっていたのですが、ふと、「日本のことばかり考えていたら、アメリカでしか目に出来ないもの、経験出来ないものを逃してしまう」と思い、またここでの過ぎて行く時間の速さを考えると、アメリカでの時間がどんなに貴重か思い知り、今は前向きに、留学後家族や友達に会えることを楽しみにしつつ、ここでしか味わえないたくさんの事を見逃さないよう、過ごすようにと心がけています。そんな風に、様々な場面で物の見方を工夫すれば、自分に大きな変化が訪れると信じて、この1か月もまたたくさんのことに挑戦しながら、楽しむことを忘れずに過ごして行きたいです。