Hinaのカンザス州(アメリカ)への高校生-留学-体験談 10ヶ月目
カンザスには、夏を感じさせる暑さがやって来たり、雨が降って一気に冷え込んだりと、カンザスらしい妙な天気が続いています。レポートを書いている今日、5月20日は、私がアメリカに到着してから丁度10ヶ月になります。そしてこの留学中のレポートは、今回で最後となります。帰国のフライト予定ももう伝えられ、長くも短くもあった留学が終盤に近づいて来ているのだと、少しずつ実感が湧いてきています。
アメリカにももちろん母の日はあり、普段の感謝をホストマザー、ホストグランドマザーに表すため、カップケーキを作りました。留学が終わりに近づき、ホストファミリーとの時間も残りわずかとなる中、なんとかホストファミリーにたくさんの感謝を表す方法を探す日々です。私のホストファミリーは、留学生を受け入れるのは私が初めてなのですが、嬉しいことに、ホストファミリーがまたいつか留学生をホストしたいと考えていると言っていました。留学生を受け入れることは、決して簡単なことではないと思います。私は、ホストファミリーに負担ばかりかけているのではないかと不安に思っていましたが、ホストファミリーから留学生をホストすることが楽しいと聞いて、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。
学校最後の週には「感謝ウィーク」というものがあり、学校でお世話になった先生方に感謝を表すという機会がありました。私は先生方と友達にも感謝を示したくて、学校で日本語で"ありがとう"と書いたクッキーをみんなに配りました。学校生活では、最後にしておかなければいけないことがたくさんあり、最後の週は特にとても忙しかったのですが、学校が終わったあと友達や先生に会えなくなってから何かしておけばよかったと思うのが嫌だと思い、自分の睡眠時間を削って大量のクッキーを焼きました。みんなに喜んでもらうことができて私もとても嬉しく、価値があったと感じました。
学校の終盤には、学期末にあるファイナルという最終テストが11日から13日の月〜水曜日に行われました。ファイナルは成績を大きく左右する最後のテストなので、どうしても良い結果を出したくて、勉強で忙しい日々が続きました。学校の先生方によると、留学生の私には前学期と比べて今学期は成績のつけ方を厳しくするということで、何かと不安に思っていましたが、ファイナルを終えたあと成績を確かめると、1学期よりもずっと良い、また自分の目標を超える成績を取ることができました。ホストファミリーや友達にたくさん助けてもらい、私自身も辛くても決して諦めることはせず、苦労がしっかり成果となって返ってきたので、感謝の気持ちが溢れると同時に、とても満足しています。
アメリカの卒業式、それは私がプロムの次に楽しみにしていた学校行事でした。私の学校では、卒業キャップにデコレーションすることが許されており、私と同じ学年に所属するホストシスターと、買い物をしに行き、一緒に飾り付けをしました。アメリカの高校の卒業式は、日本のものに比べてとても大きな行事だと感じました。ネブラスカ州からホストマザーの両親と姉妹が訪ね、クリスマスの時のようにたくさんのプレゼントやカードを頂きました。日本の卒業式と違って想像以上に盛り上がるもので、卒業式を行った体育館は観客で溢れていました。私は最後の学校の思い出に友達とたくさん写真を撮り、式の最後にはキャップを天井に向かって投げたりと、この学校を1人の生徒として1年間を終えたこと、そして卒業式に胸を張って立っていられること、それがとても誇らしく思えました。卒業式のために、卒業生を持つ家庭ごとに卒業パーティーが開かれるのは恒例で、私もホストシスターと一緒に卒業パーティーを持ちました。たくさんの友達、ホストファミリーの親戚の方々、近所に住む人々がたくさん集まり、1年間を留学生として過ごした学校生活の最後に、とても良い時間を過ごすことができました。
卒業式を終えると同時に、約3か月もある夏休みの始まりを迎えました。私には夏休みが1か月ほどしか残されていませんが、友達と遊ぶ予定をたくさん立てたりしているので、帰国までの毎日が忙しくなりそうです。私が友達と話をしている際、たくさんの友達がいつか日本に訪れて私にまた会いたいと言ってくれていて、また反対に私も絶対にアメリカに帰ってくると、強く心に誓いました。
今月学校の終わりの時期に、私のホストブラザーがいる5年生のクラスに日本の文化を紹介する機会が与えられ、小学校を訪ねました。私は学校生活に追われ、忙しくてなかなかできなかったのですが、小学校が夏休みに入る前にその機会を持つことができてよかったです。その生徒たちはみんな興味津々で、自分の国のことについて話すことがとても楽しいと感じました。決して始めから終わりまで完璧な英語を話せたわけではありません。しかし、以前には自信、英語力のなさからできなかった、また自分でできないと思い込んでいたことができるのだと分かり、ただただ嬉しかったです。いつからかははっきりと分かりませんが、この機会を通して私は英語力が近頃グンと一気についたのではないかと感じます。原因はよく分かりませんが、留学当初に感じていた人と話すことへの恐れが全くなくなり、自分の思ったことや意見をしっかりと人に伝えられるようになりました。人と会話をすることも以前よりずっと楽しく、たくさん笑うことも増え、なんだか自分ではないみたいです。きっと自信がついたということや、留学最後に近づくにつれて自然に楽しもうとしていることから来る英語力の上達だと思います。そんな今では、家族や友達とジョークを言い合ったりすることも日常生活の一部になり、毎日会話が楽しくて仕方がありません。
しかし同時に、帰国の日まで1か月を切った今、アメリカで出会った人との別れを思う時、心が痛みます。別れという悲しみとは反対に日本に一年ぶりに帰る楽しみもあることから、とても複雑な気持ちで、努力をしても乗り超えられる苦しみとは違う、内にある葛藤が常に胸の中にあるような感じです。私と同じ学校に通ったブラジルからの留学生は、彼女の留学機関がフライト予定を変更し、卒業式直後に帰国してしまいました。1年間たくさんのことを一緒に乗り越えてきた友達にも、留学の最後の日が来てしまい、私たちは泣きたい気持ちはあったものの、帰国するという現実が信じられないということから、泣くことさえできませんでした。たとえ私がアメリカに訪れても、ここで出会った留学生には会うことができません。そこで私は心から、留学を通して経験した出会いは、何にも変えることのできないとても貴重なものだと感じました。
初めは時間が止まっているようにも見え、終わりが見えなくて不安だらけだった留学。でも今私は、留学最終地点である、留学が決まってからずっと目指していた所を目前にしています。最後だからこそ英語を使うことを劣らずに力一杯、精一杯に毎日を過ごし、ホストファミリーとの時間、友達との時間を大切にし、自分のためになるやりがいのあることをして、留学を締めくくりたいと思います。