Saraのインディアナ州(アメリカ)への高校生-留学-体験談 2年目 @
宗教1
「あなたは何の宗教を信じているの?」これはアメリカ留学中によく聞かれた質問のうちの一つだ。留学する前は自分の宗教についてあまり考えたことがなく、当初はなんて答えていいのか戸惑ってしまった。日本人は自身の宗教観について聞かれたとき、殆どの人が仏教、神道、仏教と神道、あるいは何も信じていないのいずれかと答えるだろう。無宗教と答える人が、特に若い世代においては大半を占めるかもしれない。外国において無宗教や無神論者だと言うと、あまりいい顔をされないことが多い。無宗教者は神の存在を否定していることと同じであり、不道徳や傲慢と捉えられてしまうのだ。犯罪者の多くが極端な原理主義者か逆に神の存在を否定する人だと思われていることも理由の一つである。唯一神を信じる人々にとって、何の宗教も信じていないといくうとは道徳的にも間違っていると考えられてしまうのだ。彼らにとっては神道が持つ多くの神々の存在は受け入れがたいことである。
無宗教と言いつつも、多くの日本人は仏教と神道のどちらも信じる人がほとんどだ。困ったときの神頼み、輪廻、たとえ誰も見ていなくてもお天道様が私たちをどこかで見ているという考え方、これらはすべて私たちにとってなじみ深いものだ。しかし日本人は、七五三は神社で、結婚式は教会で、そして葬式は仏教で行い、また正月は神社や寺院に初詣に行く一方で、クリスマスも祝ったりといろいろな宗教を生活の中に取り入れてきた。このように考えると、日本人がある一つの宗教を信じているとは思われにくいのも当然である。しかし、日本人の心の片隅には神仏への信仰心があり、無宗教や無神論者ではないと思う。日本の宗教が他の多くの宗教と異なる最大の点は複数の神々の存在を信じていることである。人が死んだときには仏となったり、歴史上の人物では神として祀られることもあるように、神の存在がより身近であるように感じる。
もちろん、日本人は他のキリスト教者やイスラム教者など唯一神を信仰する人々と比較すると、宗教的とは言えないかもしれない。しかし、それは無宗教からはほど遠い。仏教と神道は常に私たちの頭の片隅にあり、私たちの価値観や物の見方に影響しているのだ。宗教に関しては、皆さまざまな意見を持っているだろう。しかしアメリカ留学をきっかけに、生活をすべて支配するわけではないが、よりよい生き方へと私たちを導いてくれる日本の宗教のよさを発見することができ、日本人の宗教との付き合い方を誇りに思えるようになった。