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Saraのインディアナ州-アメリカへの高校生-留学-体験談 2年目 I|高校留学ブログ日記

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Saraのインディアナ州(アメリカ)への高校生-留学-体験談 2年目 I

 

アメリカ留学 涙の思い出

   アメリカへ渡って1ヶ月目は、先生が何を話しているか、宿題が何かさえ分からず悔しくて、短い休み時間のなかでは次の教室に行くだけで精一杯で、みんなの輪にも入れず寂しくて、なかなか友達ができなくて焦っていた。そしてついにいろいろな気持ちが重なって涙が溢れてしまった。ホストファミリーと一緒にいるときは楽しくても、学校のことを考えると憂鬱になってしまうこともあった。優しいホストファミリーやコーディネーターに自分の気持ちを聞いてもらって、「大丈夫、まだ1ヶ月もたっていないんだから。」と慰めてもらった。しかし、下川さんから「日本に帰ってくる?」と聞かれたとき、絶対にいやだと思った。戦わずして負けるなんて、それも自分自身になんて情けなく思えた。

それからだんだんと慣れてきて英語もわかるようになって、今度は逆にいろいろなことが楽しくなった。自分から人に話しかけて行く勇気を持てるようになり、普通に友達と笑い合えるようになった。自分の心の中に余裕ができるのが自分でも感じ取れた。もちろん、嫌なことも悲しいことも日本にいるときと同じようにあったけれど、自分が顔をあげれば世界はこんなに開けているんだと思えるようになった。日本にいては到底知り得なかったことを感じ、自分とは全く違うバックグラウンドを持つ人に出会って、自分の狭い世界がどんどん広がっていくのが面白かった。しかしふとした瞬間、自分はこれで正しいのか、このままでいいのか不安になるときがあった。留学生としてしっかり振る舞えているのだろうか、みんな本当は私を受け入れてくれていないのかもしれないなどと考え始めると止まらなかった。それでも友達やコーディネーターは私を支えようと、ただそばにいてくれ、声をかけてくれた。そしてホストファミリーの友達の家にお邪魔したとき、彼女に「あなたは十分頑張っているんだから、少し肩の力を抜いてもいいんじゃない?」と言われた。彼女にしてみれば、本当に何気ない一言だったのかもしれないが、私はその一言に救われた。もっと強い心が欲しいと思っていたけれど、自分はこのままでもいいのかもしれない。自分は自分のペースで進んでいけばいいのかもしれないと思えた。

日本へ帰る日、6歳の双子のホストブラザーを小学校まで見送ったあと、ホストマザーに空港まで連れて来てもらった。まだ自分が本当に日本に帰るなんて信じられなかったが、手荷物検査のカウンターに向かってホストマザーと別れるとき、ホストマザーに抱きしめられて涙がこぼれた。お互いに何も言えないまま、時間が過ぎていって、しばらくして顔を見合わせて笑った。「あなたは大丈夫、これから何に向かっていこうと。」そうホストマザーは強く言ってくれた。

そして二度目の別れのときもいまだに忘れられない場面として私の中に残っている。ココモの寮から荷物をまとめて出る日、移動する車の中で涙が止まらなかった。顔がぐちゃぐちゃになってもどうしようもなかった。ドームペアレンツが前の座席にいて、隣には他の学校から遊びに来ていた中国人の留学生が座っていたのに構わず泣き続けた。1年間のココモでの思い出が走馬灯のように頭の中をかけめぐって、一日一日を思い出してはまた新しく涙が出てきた。他の留学生と寮で過ごしていくうちに本当の家族のようになり、一緒に馬鹿なことをして笑ったり、泣いたり、ときにはささいなことで喧嘩したり、寮にいるときはありのままの自分でいられた。そして今でもふとした瞬間にかけがえのないあの時間を断片的に思い出しては、その時間に戻りたくなってしまう。

アメリカなんて嫌いだと思ったこともあった。それでも途中で帰りたいとは一度も思わなかった。留学する前は、留学から帰ってきた兄やOB・OGさんの姿を見てただ単に留学すれば何か自分も変われるかもしれないと思っていた。憧れの気持ちが強かった。でも今はただの憧れではなくて、アメリカという国のもっと深いところに触れて、いろいろな複雑な思いがある。もし留学していなかったら、アメリカのことを自分で知ることもなかったし、たくさんのすてきな人たちにも会えなかった。日本に帰ってきても、私の中の大切な部分はアメリカにある。そしてそれは私が死ぬまで一生、そこにあると思う。

留学の話をすると、話題の中心は英語が話せるようになるということにすぐなってしまう。もちろん、留学先では英語しか使えないのだから上達するのは当たり前かもしれないが、英語はただのおまけだ。一番大切なことは、この異質な時間の中でいかに自分の見方や感じ方が、自分の思いや気持ちが変わったかということだ。そしてそれは自分にしか見えないものだ。もしかしたら自分にさえ見えないかもしれない。本当に大切なものは目に見えないのだから。三回目の涙を思い出してそう感じた。

留学する前、私は自分が嫌いだった。楽な方に逃げてしまう自分が嫌いだった。口先だけの自分が嫌いだった。流されてしまう自分が嫌いだった。二面性のある自分がきらいだった。自分中心でしか考えられない自分が嫌いだった。もっと人に好かれたい。もっと強くなりたい。自分を変えたいと思って決めた留学だった。もちろん全部変えられたわけではないし、まだまだ成長しなければいけない。でも今は、心にゆとりができてありのままの自分を受け入れられるようになったと思う。今は自分がもっと自由になった気がする。そしてそれはこの二年間の留学の中で得た宝物があるからなのだと思う。

 

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