Saraのインディアナ州(アメリカ)への高校生-留学-体験談 2年目 C
高校の教育
教育システムは日本とアメリカで大きく違い、それぞれにメリットとデメリットがある。一般的にアメリカの高校生は日本の高校生と比べてより積極的であり、自主性があるとよく言われる。アメリカの高校のクラスは10人から25人程度と日本の高校のクラスと比べて規模が小さいため、生徒は授業内で議論を活発に行い、質問するときも手を挙げやすい雰囲気がある。また教師と生徒の距離がとても近く、教師と生徒が意見を出し合って、重点的に学びたいテーマや授業方法を決めていくことも多い。さらに必修科目が日本と比べて少なく、1日のうち半分ほどの授業は自由に選択することができる。これらのシステムは生徒の勉強に対する意欲を高められるという利点がある一方で、生徒がある特定の分野の教養を欠いてしまう可能性もある。また、議論する時間が多いので授業の進度は日本より遅くなりがちである。
日本の高校生はアメリカの高校生に比べると、授業ではあまり積極的でないと言われる。教師が一方的に話す講義型の授業が多く、授業では教師と生徒の距離が遠いせいか、質問をされても手が自然に挙がることは少ない。日本ではクラス規模がアメリカよりも大きく、一クラス40人程度になることも多いため、生徒は発言して、間違えてしまうことを恥ずかしいと思ってしまうのもあるだろう。しかし、授業で生徒同士が議論することは少ないが、生徒は多くの知識を身につけることができる。ただ得た知識をもとに考えを深める作業をしないで終わってしまうことが多い。また必修科目が多く、幅広い教養を身につけることができる一方で、生徒が興味を持った科目を自由に選べる機会が限られてしまうため、学ぶ意欲を失ってしまう可能性もある。学習指導要領の制約もあり、授業内容や方法などが単調になってしまいがちでもある。
最近、日本では生徒の思考力や文章力を養成することの重要性が見直されつつある。例えば、数年後に大学センター試験に記述式の問題が導入されることになった。また、日本人は英語の読み書きができても会話ができないと言われているため、中学高校での英会話の授業数が増やそうという動きがある。これらの試みは日本の生徒にとってよいことだと思うが、日本の従来の教育システムのよさも忘れてはならないと思う。学びにおいて議論をして考えを深めることは確かに大切なことではあるが、議論は十分な知識があってこそ意味を成す。英会話の授業は実践という意味で生徒の英語力を高めるが、基本をしっかり身につけてこそ初めて会話は成り立ち、そうでなければとても表明的で内容のないものになってしまうと思う。知識を得ること、そしてその知識を活用して考えを深めたり実践したりすること、その両方のバランスをとってこそ意欲的に学び、その学びを深めていくことができるのではないだろうか。