Saraのインディアナ州(アメリカ)への高校生-留学-体験談 2年目 H
フレンドリーであること
アメリカ人はしばしばフレンドリーであると言われ、本当にそうだと私も思う。初めてそうのように感じたのは、アメリカへ向かう飛行機の中でだった。機内の客のほとんどはアメリカ人か日本人だったが、日本人の一人客の多くが誰とも話さずにいるのに対し、多くのアメリカ人は隣の席の人と声をかけかけ合っていたのだ。アメリカ人は気さくで優しいのだと感激した。
日常生活においてもアメリカ人の気さくさを感じる。例えば、通りすがりの見知らぬ人が、近所の道端でハローと笑って挨拶してくれたときはとても驚いた。日本人は近所の知り合いに挨拶することはあっても、見知らぬ人に挨拶することはほとんどないだろう。「よい一日を」「あなたも」と通りすがりの人とよく声をかけ合う。さらにスーパーでもレジ係の人が単なるマニュアルの挨拶だけではなく、客と親しげに世間話をすることもよく見かける光景だ。
しかし、アメリカ人のフレンドリーさは単なる彼らの性格ではない。アメリカではとても犯罪が多く、簡単に犯罪に巻き込まれてしまう。アメリカ人が見知らぬ人に笑む大きな理由の一つは、彼らが危険な人物ではなく、相手に危害を与えようとしていないとアピールするためである。このこと知ったとき、アメリカ人の気さくさが心からのものではなく、こういった背景が裏に隠れていることを知り、少しがっかりしてしまった。お手洗いの中においても、犯罪の多さを垣間見ることができる。アメリカのトイレの多くは立て付けが悪く、隙間から中にいる人が見えてしまうことも多い。これは犯罪防止のためであり、その理由は思ってもいなかったことだった。
アメリカ人がフレンドリーに見えるもう一つの大きな理由に、英語に敬語表現があまりないことが挙げられる。日本語には多くの敬語表現があり、親しさや立場を考えて語尾を変える。またそのときどきの状況に応じて最もふさわしい敬語を選んで使う。しかし、日本語の敬語を表現するには、アメリカでは口調や態度を変えるが主になるように思う。この言語の違いによってアメリカ人が日本人よりも気さくに見えるというのもあるだろう。
初めの頃はアメリカ人のフレンドリーさや気さくさに感動したが、今はただの文化の違いなのではないかと思うようになった。フレンドリーであるからといって親切であるかどうかはわからない。そしてアメリカ人の方が日本人よりも優しいと言えるわけでもない。しかしたとえそうであっても、アメリカ人のようにフレンドリーであることは、周りの人々の気持ちを明るくし、人間関係をうまく運ぶうえで大切なのではないかと感じた。